押し目で反発を確認して、勢いを測るために斜めのトレンドラインを引く。しばらくチャートを眺めているうちに、「この価格、ここから先は水平のサポートとして効きそうだな」と思えてくる——。私はこの場面に、ほぼ毎日のように出くわします。
そのとき普通にやろうとすると、せっかく引いた斜めの線を一度消して、あらためて水平線を引き直すことになります。手数としては大したことはありません。でも、相場を見ながら考えが更新されていく途中で「消す→引き直す」が入ると、思考のテンポがそこで一拍止まる。私はこの一拍が、地味に嫌でした。
その「引き直し」をなくすために用意したのが、今回紹介する Sキーでの水平レイ変換 です。ScenarioPen を2021年に集中開発してから5年間、自分のトレードで使い続けてきた中でも、いちばん手に馴染んだ小技のひとつです(最新版 v1.03.5)。
まず「水平レイ」と「水平線」の違いから
ScenarioPen には、横向きのラインが2種類あります。混同しやすいので、先に整理しておきます。
- 水平レイ(Sキー):クリックした位置から 右方向だけ に伸びる線。過去側には伸びません。
- 水平線(Hキー):クリックした位置を通り、過去・未来の両方向 に伸びる線。
どちらを使うかは、目的で決めると分かりやすいです。「これから先、ここが効くと想定している」水準なら、右だけ伸びる水平レイで十分。「過去のどこで効いてきたかも合わせて検証したい」なら、両方向に伸びる水平線。
水平レイには、見た目の上でのメリットもあります。過去側に線が伸びないぶん、チャートの左側が古いラインで埋もれにくい。何本も引く日ほど、この見やすさが効いてきます。
裏技の本体:トレンドラインをSキーで水平レイへ
やり方はシンプルです。
引いたトレンドラインを 選択した状態 で、Sキー を押す。それだけで、その線が水平レイに切り替わります。線を消す操作も、引き直す操作も必要ありません。
斜めに引いた線が、その価格水準でスッと水平に変わる。文字にすると大したことに聞こえませんが、実際にやってみると「あ、これでいいんだ」という小さな快感があります。
なぜ便利なのか:1本の線の役割が変わる
この機能の本質は、時短そのものよりも 「判断の連続性を保てること」 にあると思っています。
斜めのトレンドラインは、反発の角度や勢いを見るための線です。一方で水平レイは、「この価格が今後サポート(またはレジスタンス)として効く」という根拠の線です。本来は別物ですが、チャートを見ているときは、その2つを続けざまに考えていることが多いものです。
「斜めの反発に気づく」→「この水準が今後効くと判断する」。その流れの中で、同じ1本の線が役割を変えてくれる。私が師匠から教わってきたのも、「未来を当てにいくのではなく、未来の分岐に備える」という姿勢でした。斜めで気づき、水平で備える。Sキー変換は、その思考の流れをそのまま線に残せる機能だと感じています。
Sキーは「変換専用」ではない
念のため補足すると、Sキーは変換だけの機能ではありません。最初から水平レイを引きたいときは、Sキーで描画モードに入り、起点をクリックするだけです。
「直近安値から右へ」「このレンジ下限から右へ」というように、起点を意図して置けるので、サポート/レジスタンスを引く道具としてそのまま使えます。
マルチチャート同期との相乗
変換後の水平レイも、ScenarioPen の同期対象です。同じ通貨ペアで、設定した同期モードに従って他の時間足にも反映されます。
たとえば H4 で水平レイに変換したラインは、下位足にも表示されます。上位足で「ここが効く」と判断した水準を、執行する時間足のチャートでもそのまま意識できる。同期モードの細かい使い分けは、別記事(マルチチャート同期の回)で詳しく書きます。
使うときの注意点
- 選択していることが前提 — 変換は「対象のトレンドラインを選択している」状態で働きます。何も選ばれていないと反応しません。
- 過去方向に線が欲しいときは水平線(Hキー) — 水平レイは右だけに伸びます。「過去の反応も見たい」場面でレイを使うと物足りなくなるので、ここは取り違えに注意してください。
- DLL の使用許可が必要 — キー操作の取得に user32.dll を使っているため、MT4 で「DLL の使用を許可する」にチェックを入れておく必要があります。キーを変更する場合は、他のインジケーターや EA との衝突にも注意してください。
まとめ
機能としては本当に小さなものです。けれど「引き直しゼロ」で斜めから水平へ切り替えられると、シナリオを更新するときの思考が途切れません。
結局、線を引く道具に求めているのはこれなんだと思います。手を止めさせないこと。考えることに集中させてくれること。Sキーの水平レイ変換は、5年使い続けてきた中で、気づけば自然と手が伸びる機能になりました。
サポートやレジスタンスを水平線で引く方は、一度この「斜め→水平」の流れを試してみてください。
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