ScenarioPen のマルチチャート同期、4つの同期モードを使い分ける

ScenarioPen のマルチチャート同期、4つの同期モードを使い分ける アイキャッチ画像 手法とツールの組み合わせ

複数の時間足で相場を見る人なら、一度は感じたことがあると思います。D1 で「ここが効きそうだ」と重要なラインを引いたあと、H4 に切り替えると、その線がどこにもない。もう一度引く。H1 に落とすと、またない。引く。M15 でも、引く——。

MT4 の標準では、描いたオブジェクトは時間足ごと・チャートごとに独立しています。だから上位足で見つけた水準を執行足でも意識したければ、同じ線を何度も引き直すしかありません。しかも手で引き直すたびに、位置が少しずつズレていく。「同じ線のはずなのに、足ごとに微妙に違う」という、地味に気持ち悪い状態が生まれます。

正直に打ち明けると、私が ScenarioPen を手放せない最大の理由は、キー一発の描画の速さよりも、これから紹介するマルチチャート同期にあります。2021年に集中開発してから5年間、自分のトレードで使い続けてきましたが、もしこの機能だけ抜かれたら、たぶん乗り換えを考えます。それくらい中心的な機能です(最新版 v1.03.5)。

マルチチャート同期とは何か

ひとことで言えば、1つのチャートで描いた線が、他のチャートにも自動で反映される機能です。

たとえば D1 でトレンドラインを1本引くと、M15 のチャートにも同じ位置に同じ線が現れます。引き直す必要はありません。

この機能のいいところは、「描く」と「見る」を切り離せることです。線を描くのは、相場の構造が見やすい上位足。その線を実際に使うのは、エントリーのタイミングを計る執行足。別々の作業を、1本の線が橋渡ししてくれます。

4つの同期モードを使い分ける

同期は「全部一律」ではなく、4つのモードから選べます(加えて「同期しない」もあります)。ここが使いこなしの肝です。

① 全ての時間足で同期(デフォルト)
M15・H1・H4・D1 のすべてに同じラインが反映されます。迷ったら、まずこれで問題ありません。どの足に切り替えても線がそこにある安心感があります。

② 下位足へ同期
上位足で描いた線を、下位足にだけ反映します。私がいちばん多用するのはこれです。「上位足で環境を認識して、執行足に落とし込む」という王道のワークフローに、ぴったり噛み合います。

③ 上位足へ同期
逆に、執行足を見ているときに気づいた水準を、上位足へ押し上げます。「M15 で効いているこのライン、実は H4 でも意味があるかも」と感じたときに、上の足へ持ち上げて確認できます。

④ 同じ時間足で同期
別ウィンドウで同じ時間足のチャートを並べているとき、その間で同期します。正直に言うと、私自身はほとんど使う機会がありません……。ただ、条件分岐としては自然に存在する形だったので、エンジニアの癖で「あるなら作っておくか」と追加した、というのが本音です><

なお、下位足・上位足への同期は「同じ時間足を含む」挙動になっていて、描いた足そのものにも当然ラインは残ります。検証のために一時的に同期を切りたいときは、「同期しない」を選べば各チャートが独立します。

同期されるのは「同じ通貨ペア」だけ

ひとつ安心してほしいのは、同期されるのは同じ通貨ペアのチャートに限られるという点です。USDJPY で引いたラインが、誤って EURUSD のチャートに飛んでいくことはありません。

これはバグ防止というより、あえてそう設計しています。通貨ペアが違えば、意識すべき価格も、効いてくる水準もまったく別物だからです。このあたりの設計の考え方は、話すと長くなるので別記事にゆずります。

垂直線は「表示位置」も同期できる

水平の線やトレンドラインは価格で同期しますが、垂直線については「チャート間で表示位置も同期する」オプションがあります。

これを使うと、複数のチャートで「今、この時間に注目している」という視点をそろえられます。指標発表の時刻や、セッションの区切りなどを、時間足をまたいで揃えたいときに便利です。

実戦での使い方:H4で考えて、M15で実行する

私の普段の流れを紹介します。

まず H4 で環境を認識し、効きそうな水準やトレンドラインを引きます。このとき同期モードは「下位足へ同期」。そのうえで M15 までスケールダウンすると、H4 で引いた線が、そのまま M15 のチャートにも乗っています。

つまり、上位足で考えた根拠を持ったまま、執行足でタイミングだけを計れるわけです。線を引き直す手間がないので、思考が途切れません。

私が師匠から教わってきたのは、「未来を当てにいくのではなく、未来の分岐に備える」という姿勢でした。上位足で描いたシナリオを、執行足でも見失わずに持ち続ける。マルチチャート同期は、その「備えを手元に保つ」ことを、目立たないけれど、確実に支えてくれます。

設定と注意点

  • 同期モードはプロパティ画面で切り替えます。 描き始める前に「今日はどのモードでいくか」を決めておくと、途中で混乱しません。
  • 同期は同一通貨ペアが前提です。 別ペアのチャートには反映されません。
  • DLL の使用許可が必要です。 ScenarioPen はキー操作の取得に user32.dll を使っているため、MT4 で「DLL の使用を許可する」にチェックを入れておいてください。

まとめ

マルチチャート同期の価値は、突き詰めると「引き直しゼロ」、つまり分析の一貫性を保てることに尽きます。

上位足で考えたことを、執行足までそっくりそのまま運べる。足を切り替えるたびに線を引き直し、そのたびに少しずつズレていく——あの地味なストレスから解放されます。

冒頭で「この機能のためだけに使い続けている」と書きましたが、決して大げさではありません。MTF 分析を軸にする方にこそ、一度この「1本引けば、見るべき足すべてに乗る」感覚を試してみてほしいと思っています。


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