週刊ファンダメンタルズ展望(10/12〜10/18):10/14の米CPIが山場、カナダドル安と中東情勢、ユーロ・ポンド・豪ドルの売りの偏りに注目

週刊ファンダメンタルズ展望(10/12〜10/18):10/14の米CPIが山場、カナダドル安と中東情勢、ユーロ・ポンド・豪ドルの売りの偏りに注目 ファンダメンタルズ

主要8通貨(USD・EUR・GBP・JPY・CHF・AUD・CAD・NZD)について、各国の中央銀行・統計機関・CFTC(米商品先物取引委員会)が公表した情報をもとに、今週の材料を整理してみました。相場を当てにいく記事ではなく、「いまどんな材料があるのか」を並べて眺めるためのものです。数値は2026年10月11日(日本時間)に確認したものです。

今週のざっくりまとめ

  • 強そうな通貨:ドル・豪ドル(金利が高い通貨)。ユーロも材料は強めですが、値動きは弱いままです
  • 弱そうな通貨:円・カナダドル・NZドル・フラン・ポンド
  • 一番の山場:10/14(水)夜の米9月の消費者物価(CPI)。翌10/15(木)には豪州の雇用統計と英国のGDPも続きます

① 先週までの振り返り

先週いちばん大きく動いたのは、カナダドルでした。10/9に出たカナダ9月の雇用統計で、働く人の数は6.8万人も減っています(カナダ統計局)。8月に続いて2か月連続の減少で、失業率も6.5%に上がりました。発表のあとカナダドルはドルに対して売られ、約1年6か月ぶりの安さを付けたと報じられました。

アメリカでは、「年内にもう一度利上げ」という声が目立ちましたね。10/7に出たFOMC議事録(9月の会合の記録)では、大半のメンバーが年内の追加の利上げを適切と見ていました。10/8にはFRBのウォラー理事とムサレム総裁も、追加の利上げに前向きな考えを示しています。それでも米国の長期金利(10年債)は10/9に5.24%で、前の週より少し下がりました(米財務省)。

10/9のミシガン大学の調査では、消費者が見込む1年先の物価の上がり方が4.7%に上がっています。市場が見る10月の利上げの確率は2割くらいで、12月は8割を超えていると報じられました(ロイター)。ドルは4週続けて少しずつ強くなっていて、ドル円は158円台で週を終えています。

ユーロは物価が強いのに、売られる流れが止まりませんでした。10/8に出たECB(ユーロ圏の中央銀行)の議事要旨では、物価が上ぶれする心配が示されています。ただフランスの国債への不安やスペインの解散総選挙が重しになり、ユーロはドルに対して5週続けて下がったそうです。

日本では、植田総裁が10/6の講演で10月の利上げをにじませず、「10月にもう一度」という見方は弱まりました。政府は10/9に、食料品の消費税を下げる法案を閣議決定しました(共同通信)。財源がまだ示されていない点は、円にとって気になるところですね。

豪ドルは先週、ドルに対して少し値を戻しました。ポンドとNZドル、フランはほぼ横ばいです。当サイトの「買われる/売られる」の判定は、先週も1件も変えていません。

週末には中東で緊張が高まりました。10/11、イエメンの武装組織フーシ派がサウジアラビアのリヤドの空港を攻撃し、少なくとも12人が亡くなったと報じられています(アルジャジーラ)。原油はWTI(アメリカの原油価格)が10/9に91ドル台で、週明けの原油や安全な通貨(円・フラン)の動きは気にしておきたいところです。

② 今週の注目カレンダー(10/12〜10/18)

時刻はいずれも日本時間です。今週も、8つの中央銀行のどこも金利を決める会合はありません。

日程イベントここを見る
10/12(月)日本はスポーツの日、アメリカはコロンブスデー(債券市場がお休み)、カナダは感謝祭祝日で取引が少なく、週末の中東のニュースに振れやすいかも
10/12〜18IMF・世界銀行の年次総会(タイ・バンコク)各国の財務相や中央銀行の総裁の発言
10/13(火)フランスの国会で来年の予算案の審議が始まるもめて国債がまた売られれば、ユーロの重しに
10/14(水)10:30中国9月の消費者物価中国の景気の弱さが続いているか
10/14(水)21:30米9月の消費者物価(CPI)今週いちばんの山場。8月は3.4%。強ければ「10月にもう一度利上げ」の見方が戻りそう
10/15(木)9:30豪9月の雇用統計8月は失業率が上がった。強ければ「11月にもう一度利上げ」の見方につながる
10/15(木)15:00英8月のGDP(国全体のもうけ)景気が弱くても、物価が高いので英中銀は利上げしそうなのか
10/15(木)日銀の小枝審議委員の講演(熊本)10月末の会合に向けて、利上げの話が出るか
10/15(木)21:30米9月の小売売上高(お店の売上)とPPI(企業どうしの物の値段)アメリカの買い物の勢いが続いているか
10/16(金)日銀の植田総裁の講演(内田副総裁が代読)10/30の会合での利上げに含みを持たせるか

その先は、10/19(月)にカナダ9月の物価と中国の7〜9月期のGDP、カナダのアルバータ州の住民投票があります。10/23(金)には日本9月の物価が出ますね。10月末には、10/27〜28にFRB、10/28にカナダとNZの中央銀行・イギリスの予算発表、10/28〜29にECB、10/29〜30に日銀と、大きな予定が集まっています。NZの総選挙は11/7(土)です。

③ 通貨ペアごとの見通し

8通貨の材料は通貨ペア別 売られる要因・買われる要因にまとめてあり、火・水・木・金曜日はそちらを更新しています。この記事の表は、その10/9朝時点の内容に週末までの動きを足したものです。

8通貨の材料と優勢

右の列は、短期で売り買いする大口の投資家(CFTCの「投機筋」)の持ち方です。10/6時点(10/9公表)のデータを使っています。どちらかに大きく偏っていると、手放す動きが出たときに反対向きへ動きやすくなる点に注意です。

通貨優勢買われやすい理由売られやすい理由大口の投資家の持ち方
USD買われるFRBが3.75〜4.00%に利上げ。FOMC議事録で大半が年内の追加の利上げを支持10月の利上げは2割くらいの確率。長期金利は先週少し下がった少し買っている程度で、偏りは小さい
EUR買われるECBが6月・9月と利上げ(2.50%)。議事要旨で物価が上ぶれする心配フランスの国債への不安、スペインの解散総選挙。ドルに対して5週続けて下落売りが過去5年で最も多く、3年で見てもかなり多い。手放す動きが出ればユーロ高に振れるかも
GBP売られる11月の利上げを見込む声が約8割。ユーロに対して16か月ぶりの高値10/28の予算を前に、国の借金への不安売りが約3か月ぶりの多さで、3年で見てもかなり多い。手放す動きが出ればポンド高に振れるかも
JPY売られる日銀が1.25%に利上げ。8月の実質賃金はプラスが続くアメリカとの金利の差が大きい。総裁は10月の利上げをにじませなかった円の買いを少し増やした
CHF売られる何かあったときに買われやすい「安全な通貨」。中東の緊張が高まっている金利が0%で主要通貨の中で一番低い。副総裁は「政策を変える必要はない」売りを4週続けて減らした
AUD買われる金利4.60%は8通貨で一番高い。先週はドルに対して少し値を戻した11月の利上げの見方は3割弱。消費者の気持ちが急に冷えた投機筋の売りが約1年1か月ぶりの多さで、3年で見てもかなり多い。手放す動きが出れば豪ドル高に振れるかも。一方でヘッジファンドは買っていて、見方が分かれている
CAD売られる原油が高い。物価は3%前後9月の雇用が6.8万人減。アメリカの輸入禁止で約1年6か月ぶりの安さ売りを3週続けて増やした
NZD売られる7月・9月と続けて利上げ(2.75%)10/28は据え置きの見方が多い。0.56ドル前後の安さが続く売りを3週続けて増やした

今週特に動きそうなペア

USD/JPY(ドル円)

ひとことで:上がりやすい(ドルが強く、円が弱い)材料が多め。

なぜ? FRBの幹部から追加の利上げに前向きな声が続く一方で、日銀は10月の利上げに慎重と見られているからです。アメリカと日本の金利の差は大きいままですね。

逆に動くとしたら? 10/14の米国の物価が弱ければ、ドルが売られて下がるかもしれません。国が為替に直接手を入れる(円を買い支える)かもしれないという警戒もあります。中東の緊張が強まって、安全な通貨の円が買われる場面もありそうです。

いつ決まりそう? 10/14(水)夜の米CPIと、10/16(金)の植田総裁の講演でしょう。

USD/CAD(ドルカナダ)

ひとことで:上がりやすい(ドルが強く、カナダドルが弱い)材料が多め。

なぜ? カナダは9月の雇用が大きく減り、カナダ中銀の「10月に利上げ」という見方がしぼんだからです。アメリカとの貿易の対立も続いています。

逆に動くとしたら? 中東の緊張で原油がさらに上がると、産油国のカナダのドルが買い戻されて下がるかもしれません。

いつ決まりそう? 今週は10/14の米CPI。その先は10/19(月)のカナダの物価と、10/28のカナダ中銀ですね。

GBP/AUD(ポンド豪ドル)

ひとことで:下がりやすい(豪ドルが強く、ポンドが弱い)材料が多め。

なぜ? 豪州の金利は約15年ぶりの高さで、イギリスは10/28の予算を前に国の借金への不安が続いているからです。

逆に動くとしたら? 豪州の雇用統計が弱ければ「11月にもう一度利上げ」の見方がさらにしぼみ、上がるかもしれません。ポンドも豪ドルも投機筋の売りがかなり多いので、どちらが先に売りを手放すかで振れやすいペアですね。

いつ決まりそう? 10/15(木)の朝に豪州の雇用統計、夕方に英国のGDPと、同じ日に両方が出ます。

EUR/CHF(ユーロフラン)

ひとことで:上がりやすい(ユーロが強く、フランが弱い)材料が多め。ただ、下に振れるきっかけも目立つ1週間です。

なぜ? ユーロ圏は物価が高く利上げの話が続いているのに、スイスは金利0%のままだからです。スイス中銀の副総裁も、いまは金利を変える必要はないと話しました。

逆に動くとしたら? 週末にサウジの空港が攻撃され、中東の緊張が高まっています。フランスの予算審議がもめてユーロが売られたりすると、安全な通貨のフランが買われて下がるかもしれません。

いつ決まりそう? 10/13(火)から始まるフランスの予算審議と、中東のニュース次第で変わりそうです。

まとめ

今週も金利を決める会合はなく、山場は10/14(水)夜の米国の物価です。強い結果なら「10月にもう一度利上げ」の見方が戻ってドルが買われやすく、弱ければその反対になりそうですね。10/15は豪州の雇用統計と英国のGDPが同じ日に出るので、豪ドルとポンドも動きやすい1日になるでしょう。週末に高まった中東の緊張で、週の初めから安全な通貨の円やフランが買われる場面もあるかもしれません。

大口の投資家は、ユーロ・ポンド・豪ドルの3つを3年で見てもかなり多く売っています。特にユーロの売りは過去5年でいちばん多い水準です。何かのきっかけで売りを手放す動きが出ると、反対向きに大きく動くこともあるので、気にしておきたいところですね。

主な出典

※この記事は公開情報を整理したもので、特定の通貨の売買を勧めるものではありません。最終的な投資判断はご自身でお願いします。

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