フィボナッチは、引くまでに少し手間のかかる道具です。ツールを選んで、2点を取って、出てきたレベルを確認する。1回ならどうということはありませんが、何本も引く日は地味に積み上がります。
ただ、私が本当に困っていたのは引く手間のほうではありませんでした。引いたあとです。
チャートにフィボが数本乗っていると、どれをどの足で引いたのか分からなくなります。「この 61.8%、D1 の波から取ったんだっけ、それとも M15 だったか」。そうなると、その線はもう使えません。フィボはどの波から取ったかで意味が変わる線だからです。
今回紹介する Fキーは、描く速さと、その出所が残ることの両方を狙った機能です(最新版 v1.09.1)。
Fキーの基本:押して、2点を取る
操作は2ステップです。
ステップ1、チャート上で F キーを押す。描画モードに入ります。
ステップ2、起点をクリックして、終点をクリックする。たとえばスイング高値から安値へ。2点目を取った瞬間にレベル線がまとめて描かれ、モードも抜けます。
どちらを起点にするかで、レベルの向きが決まります。戻りを測りたいのか押し目を測りたいのかで、取る順番を変えてください。
ツールバーを探す手順がない点は、トレンドラインの Tキーや長方形の Rキーと同じです。
レベルは9本まで、自由に決められる
ScenarioPen では、表示するフィボレベルをプロパティ画面で指定できます。レベル1から9まで、9本分の枠があります。
初期値はこうなっています。
| 値 | 値 | ||
|---|---|---|---|
| レベル1 | 0 | レベル6 | 1.0 |
| レベル2 | 0.236 | レベル7 | 1.618 |
| レベル3 | 0.382 | レベル8 | 2.618 |
| レベル4 | 0.5 | レベル9 | 4.236 |
| レベル5 | 0.618 |
指定できる範囲は 0.0 から 10.0 まで。そして空白にすれば、その線は出ません。
この「空白で消せる」ところが、実用上はいちばん効きます。
フィボは、出す本数を絞るほど効く道具だと思っています。9本すべて表示すると、チャートはあっという間に横線だらけになり、どこを見ているのか自分でも分からなくなる。「今回は 0.5 と 0.618 だけ見たい」なら、他を空にしてしまえばいい。
必要なレベルだけが乗ったフィボは、ずいぶん読みやすくなります。
説明欄に「どの足で引いたか」が刻まれる
ここが、フィボにだけ入れてある仕組みです。
描画されたレベル線の説明欄には、こういう文字列が自動で入ります。
23.6 / M5
前半がパーセンテージ、後半が、そのフィボを描いた時間軸です。
なぜこうしたかというと、冒頭に書いた「出所が分からなくなる」問題を、線そのものに解決させたかったからです。
D1 の大きな波から取った 61.8% と、M5 の小さな戻りから取った 61.8% は、同じ価格に来ていても重みがまったく違います。前者は多くの参加者が見ている水準かもしれませんが、後者はその日のノイズの一部かもしれない。
ところが価格だけを見ていると、この差は消えます。チャートに残っているのは「61.8% の線」でしかない。
線に出所が書いてあれば、消えません。クリックして説明を見れば、それが何の波から取られたものか分かります。
同期しても、出所は書き換わらない
もうひとつ、合わせて効いてくる仕様があります。
M5 で描いたフィボを H1 のチャートに同期しても、説明欄は 23.6 / M5 のままです。同期先の時間軸に書き換わりません。
これは意図してそうしています。もし同期先に合わせて 23.6 / H1 と書き換えてしまったら、H1 で引いたフィボのように見えてしまうからです。実際は M5 の波から取ったものなのに、上位足の根拠であるかのような顔をする。それは線が嘘をついている状態だと思いました。
逆に、D1 で引いたフィボを M5 に降ろしたときも同じです。M5 のチャートに表示されていても、説明欄は D1 のまま。執行足で見ていても、それが上位足由来の水準であることが残ります。
同期の設定そのものは別記事に書いたので、ここでは「出所ごと運ばれる」とだけ覚えておいてください。
フィボで当たりをつけて、水平線で待つ
実際の流れも書いておきます。
フィボを引くと目安が何本か出ますが、実際に待つのはそのうち1〜2本です。全部を同じ重さで見張ることはありません。
本命のレベルが決まったら、私はその価格に水平線を1本置きます。こうするとチャートがフィボの線だらけのままにならずに済みますし、アラートは水平線やトレンドラインなどに乗せる仕組みなので、置き換えておけばそのまま見張らせられます。
「フィボで候補を出す → 1本に絞る → 水平線にして待つ」。この流れが、自分の普段のやり方になっています。
使うときの注意点
- 全部のレベルを空白にすると、標準の9レベルに戻ります — 全部消したつもりが元通りになるので、減らしたいときは1つ以上を残してください
- 範囲外や数値以外は無視されます — 0.0 未満、10.0 超、文字列などを入れたレベルは描かれません
- DLL の使用許可が必要 — キー操作の取得に user32.dll を使っているため、MT4 で「DLL の使用を許可する」にチェックを入れておいてください
まとめ
Fキーの価値は、速く引けることだけではないと思っています。
フィボは、出所が分からなくなった時点で使えなくなる線です。61.8% という数字そのものに意味があるわけではなく、「どの波の 61.8% か」で初めて意味が決まる。
だから、出所を線自体に持たせてあります。レベルを絞って、出所を残す。この2つをやるだけで、フィボは「なんとなく引く線」から「根拠を説明できる線」に変わります。
押し目や戻りの目安にフィボを使っている方は、一度、表示するレベルを2〜3本まで削ってみてください。残った線のほうが、よく見えるようになるはずです。
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