週刊ファンダメンタルズ展望(9/28〜10/4):RBAの利上げ判断と米PCE・雇用統計、円安けん制の行方に注目

週刊ファンダメンタルズ展望(9/28〜10/4):RBAの利上げ判断と米PCE・雇用統計、円安けん制の行方に注目 ファンダメンタルズ

主要8通貨(USD・EUR・GBP・JPY・CHF・AUD・CAD・NZD)について、各国の中央銀行・統計機関・CFTC(米商品先物取引委員会)が公表した情報をもとに、今週の材料を整理してみました。相場を当てにいく記事ではなく、「いまどんな材料があるのか」を並べて眺めるためのものです。数値は2026年9月27日(日本時間)に確認したものです。

今週のざっくりまとめ

  • 強そうな通貨:ドル・ユーロ・豪ドル(金利が上がっている、または上がりそうな通貨)
  • 弱そうな通貨:円・ポンド・フラン・カナダドル・NZドル
  • 一番の山場:10/2(金)夜の米雇用統計。その前に、9/29(火)に豪州の利上げ判断があります

① 先週までの振り返り

先週の前半は、アメリカの金利が上がってドルが買われました。米国の長期金利(10年債)は9/18の5.01%から、9/24には5.18%まで上がっています(米財務省の公表値)。アメリカの景気の指標が強く、FRB(アメリカの中央銀行)の幹部から追加の利上げに触れる発言も続いたことで、ドル円は9/24に159円台をつけました。

流れが変わったのは9/25(金)です。片山財務相が、日米首脳会談でトランプ大統領が円安に懸念を示したと明かし、その夜の日米財務相の電話会談でも「円の過小評価は懸念事項」(円が安すぎるのは心配という意味)と確認しました(財務省の発表)。ドル円は1日で1%ほど下がり、157円前後で週を終えましたね。国が実際に円を買い支えたのか(為替介入)は、9/30の発表で分かります。

ほかの通貨もドルに対してそろって下がりました。ポンドは1.336→1.325前後、豪ドルは0.711→0.703前後、NZドルは0.573→0.566前後です。カナダドルも、ドルに対して7月以来の安さになりました。スイス中銀は9/24に金利を0%のまま据え置き、為替に手を入れる姿勢を示す言い回しを弱めたので、フランが売られています。

イギリスでは、中央銀行(BOE)の副総裁2人に続き、ベイリー総裁も9/25に「エネルギー高が長引けば、金利を据え置き続けるのは難しい」と話しました。利上げに前向きな発言です。ただ、景気の指標の鈍さや国の財政への不安のほうが重いと見て、当サイトではポンドを「買われる」から「売られる」に変えました。先週、判定を変えたのはこの1件だけです。

原油は、イランがホルムズ海峡(原油の通り道)を再び開く案を出したことで下がり、WTI(アメリカの原油価格)は9/25に92ドル台になりました。ただ、トランプ大統領が9/26(土)にこの案を断ったと報じられています。市場が閉まったあとのことなので、週明けに原油がどう動くかは気にしておきたいところですね。

② 今週の注目カレンダー(9/28〜10/4)

時刻はいずれも日本時間です。

日程イベントここを見る
9/29(火)13:30豪州の中央銀行(RBA)の金利発表(14:30から総裁会見)4.35%からの利上げはほぼ確実と見られている。「次もある」と言うかどうか
9/29(火)23:00米8月の求人件数(JOLTS)アメリカで人手がどれくらい求められているか
9/30(水)10:30豪8月の消費者物価(CPI)物価が強ければ「もう一度利上げ」の見方につながる
9/30(水)19:00財務省の為替介入の実績(8/27〜9/28分)9/25ごろに国が円を買い支えたのかどうか
9/30(水)21:30米8月のPCE(物価と個人消費)FRBの10月利上げを後押しするか(市場は約7割の確率と見ている)
9/30(水)米9月のADP雇用統計10/2の雇用統計の前ぶれ
10/1(木)日銀「主な意見」(9/17〜18会合分)利上げに反対した2人の理由と、次の利上げへの前向きさ
10/1(木)15:30スイス9月の消費者物価(CPI)スイスの利上げの見方が出てくるか
10/2(金)8:30東京都区部9月の消費者物価(中旬速報)日銀が10月に利上げしそうかどうか
10/2(金)8:50日銀短観(9月調査)企業の景気の感じ方と、物価の見通し
10/2(金)ユーロ圏9月の消費者物価(速報)ECB(ユーロ圏の中央銀行)が10月に利上げしそうか
10/2(金)21:30米9月の雇用統計今週いちばんの山場。10/27〜28のFRBの会合の前提になる
10/3(土)早朝CFTCの建玉報告(9/29時点)大口の投資家のユーロ・ポンドの売りが減るか

このほか、ホルムズ海峡をめぐるアメリカとイランのやり取り(イランはアメリカの正式な返事を待っている)や、フーシ派によるサウジアラビアへの攻撃も、原油の値段を通じて資源国の通貨や円を動かしやすい材料です。

その先も見ておくと、10/9(金)にカナダ9月の雇用統計があります。10月末は、10/27〜28にFRB、10/28にカナダとNZの中央銀行・イギリスの予算発表、10/28〜29にECB、10/29〜30に日銀と、大きな予定が集中しています。

③ 通貨ペアごとの見通し

8通貨の材料は通貨ペア別 売られる要因・買われる要因にまとめてあり、火・水・木・金曜日はそちらを更新しています。この記事の表は、その9/25時点の内容に週末までの動きを足したものですね。

8通貨の材料と優勢

右の列は、短期で売り買いする大口の投資家(CFTCの「投機筋」)の持ち方です。9/22時点(9/25公表)のデータを使っています。どちらかに大きく偏っていると、手放す動きが出たときに反対向きへ動きやすくなる点に注意です。

通貨優勢買われやすい理由売られやすい理由大口の投資家の持ち方
USD買われるFRBが3.75〜4.00%に利上げ。幹部から追加の利上げに触れる発言。長期金利は5.17%トランプ大統領が利下げを求めている。日米で円安への懸念を確認少し買っている程度で、偏りは小さい
EUR買われるECBが6月・9月と利上げ(2.50%)。景気の指標が良くなってきたフランスの財政不安、ドイツの政権の不安定さ売りがここ3年で見てもかなり多い。手放す動きが出ればユーロ高に振れるかも
GBP売られるBOEの総裁・副総裁が利上げに前向き。市場は約8割の確率で11月の利上げを見込む景気の鈍さ。10/28の予算を前に財政への不安売りが約3か月ぶりの多さで、3年で見てもかなり多い。手放す動きが出ればポンド高に振れるかも
JPY売られる日銀が1.25%に利上げ。日米財務相が円安への懸念を確認アメリカとの金利の差が大きい。日銀の10月利上げは「3割くらいの確率」の見込み円の買いを大きく減らした。先週は約1年2か月ぶりの多さだった買いを手放している
CHF売られる何かあったときに買われやすい「安全な通貨」金利が0%。スイス中銀の据え置き後に売られたヘッジファンドの売りが1年で見てかなり多い。手放す動きが出ればフラン高に振れるかも
AUD買われる金利4.35%は8通貨で一番高い。9/29に利上げしそう。雇用も予想より強い工場の景気の指標が弱め。失業率が4.6%に上がった。中国の景気の弱さ売りが約9か月ぶりの多さに増えた。ただしヘッジファンドは買っていて、見方が割れている
CAD売られる物価は3%前後。10月の利上げは五分五分との見方7月の小売売上高(買い物の統計)が-0.7%、8月の雇用が4.2万人減。原油の値下がり売りが先週より増えた
NZD売られる7月・9月と続けて利上げ(2.75%)失業率5.6%。中国の物価が下がる流れ。ドルに対して6月下旬以来の安さ買いから売りに変わった。先週の約2年ぶりの買いは、ほぼ手放された

今週特に動きそうなペア

USD/JPY(ドル円)

ひとことで:上がりやすい(ドルが強く、円が弱い)材料が多め。ただ、国が円を買い支えるかもしれないという警戒で、上には行きにくくなっています。

なぜ? アメリカは利上げを続けていて金利も高く、ドルにお金が集まりやすいからです。

逆に動くとしたら? 159円台をつけたすぐあとに、日米の財務相が円安への懸念を確認しました。9/30の発表で実際に円を買い支えていたと分かれば、下がる方向に傾くかもしれません。10/2朝の東京の物価や日銀短観が強く、日銀の10月利上げの見方が強まった場合も同じです。

いつ決まりそう? 9/30夜の米PCEと、10/2夜の米雇用統計ですね。

AUD/NZD(豪ドル/NZドル)

ひとことで:上がりやすい(豪ドルが強く、NZドルが弱い)材料が多め。

なぜ? 豪州は9/29の利上げがほぼ確実と見られていて、NZ(2.75%)との金利の差がさらに開きそうだからです。

逆に動くとしたら? 利上げそのものはもう予想されているので、大事なのは「次もある」と言うかどうか。言わずに「今回だけ」という印象になれば、豪ドルが売られて下がるかもしれません。反対に、9/30の豪州の物価が強ければ、さらに上がりやすくなります。なお、NZドルは大口の投資家がすでに買いを手放しているので、ここからさらに売られる余地は小さめです。

いつ決まりそう? 9/29のRBAの発表と、翌日9/30の豪州の物価です。

GBP/USD(ポンドドル)

ひとことで:下がりやすい(ドルが強く、ポンドが弱い)材料が多め。ただ、反対に跳ねるきっかけも積み上がっています。

なぜ? ポンドは1.32台半ばと、約3か月ぶりの安さです。イギリスの中央銀行は利上げに前向きになってきましたが、今のところは国の財政への不安や景気の鈍さのほうが重く見られています。

逆に動くとしたら? 大口の投資家はポンドをかなり多く売っています。9/30の米PCEや10/2の米雇用統計が弱くてドルが売られれば、その売りを手放す動きでポンドが上がるかもしれません。

いつ決まりそう? 9/30の米PCEと10/2の米雇用統計です。

USD/CHF(ドルフラン)

ひとことで:上がりやすい(ドルが強く、フランが弱い)材料が多め。

なぜ? スイスは金利0%のまま、アメリカは利上げ中で、金利の差が大きいからです。フランはドルに対して0.82台後半と、2025年5月以来の安さになっています。

逆に動くとしたら? ヘッジファンドがフランをかなり多く売っているので、手放す動きが出ると下がりやすい状態です。10/1のスイスの物価が予想より強い場合や、中東で緊張が高まって安全な通貨のフランが買われた場合が、そのきっかけになりそうですね。

いつ決まりそう? 10/1のスイスの物価と、中東のニュースです。

まとめ

今週、金利を決める中央銀行は豪州だけ。とはいえ、アメリカの大きな指標が2つ(9/30のPCEと10/2の雇用統計)あり、円の介入の実績や日銀短観も重なる、中身の濃い1週間になりそうです。

大口の投資家は、ユーロとポンドをかなり多く売っています。一方で、円とNZドルの買いは大きく手放しました。偏っている通貨ほど、材料しだいで反対向きに大きく動くことがあるので、そこも気にしながら見ておきたいところですね。

主な出典

※この記事は公開情報を整理したもので、特定の通貨の売買を勧めるものではありません。最終的な投資判断はご自身でお願いします。

タイトルとURLをコピーしました