以前、水平線の記事でこんなことを書きました。
価格はきっちりその1点で反応するわけではないので、実際はゾーンとして見ています。
書いたあとで、少し引っかかりました。ゾーンとして見ているなら、チャートにもゾーンとして描いたほうが素直ではないかと。
水平線を1本引いて、しばらく眺めていると「厳密にこの価格というより、この辺り一帯が効いている」と感じる場面があります。そのときに使う道具が、今回紹介する Rキーの長方形です(最新版 v1.09.1)。
Rキーの基本:押して、対角を2回クリック
操作は2ステップです。
ステップ1、チャート上で R キーを押す。描画モードに入ります。
ステップ2、囲みたい範囲の対角となる2点をクリックする。長方形が描かれ、同時にモードも抜けます。
4隅を順番に指定する必要はありません。左上と右下、あるいは左下と右上。どちらの向きから始めても構いません。
ツールバーからアイコンを探す操作がない点は、トレンドラインの Tキーや水平線の Hキーと同じです。指が覚える動きは共通しています。
塗りつぶすか、枠だけにするか
長方形には2つの見え方があります。塗りつぶしと、枠だけです。
初期状態は塗りつぶしになっています。切り替えたいときは、対象の長方形を選択した状態で B キー。押すたびに塗りつぶしと枠だけが入れ替わります。
ここで、この機能を作るときに気を使った部分を書いておきます。
塗りつぶしにすると、長方形はローソク足の背後に回ります。
色を面で乗せると、普通はその下にあるものが読めなくなります。ゾーンを目立たせたくて塗ったのに、肝心の値動きが隠れてしまっては本末転倒です。そこで、塗りつぶし時は背面へ、枠だけのときは前面へ、と入れ替わるようにしてあります。塗ってもローソク足はそのまま見えます。
使い分けの目安は、こんなところだと思っています。
- 主要なゾーン(実際に意識している価格帯)→ 塗りつぶして存在感を出す
- 補助的なゾーン(候補、まだ検証中)→ 枠だけにして控えめに置く
なお B キーは長方形専用ではありません。平行チャネルのような面を持つオブジェクトにも同じように効きます。
何を囲うのか
実際に使っている場面を挙げると、だいたい次の3つです。
サポート/レジスタンスのゾーン
ヒゲの先から実体の端まで、といった形で囲みます。「どこまでを反応とみなすか」を、幅そのもので表現できます。
レンジの上下限
上下に水平線を2本引くやり方もありますが、1つの長方形で囲んだほうが「ここはレンジである」と一目で分かります。線2本だと、後から見たときに別々の根拠に見えてしまうことがあります。
想定変動幅
「ここまでは動きうる」という範囲を先に置いておく使い方です。指標の前などに、あらかじめ幅を見積もっておくと、動いたときに慌てずに済みます。
水平線と長方形、どちらを使うか
ここが、この記事でいちばん書きたかった部分です。
- 水平線(Hキー)= その価格。1点を指し示す
- 長方形(Rキー)= その価格帯。幅を持たせる
どちらが優れているという話ではありません。自分が見ている対象の解像度の問題だと思っています。
「150.000 ちょうどが意識されている」と感じているなら水平線。「149.900 から 150.100 のあたりが効いている」と感じているなら長方形。それだけのことです。
大事なのは、自分の認識を道具の都合に合わせて丸めないことだと考えています。
ゾーンとして捉えているのに線しか引けないと、引いた線が実際より強い根拠に見えてきます。「150.000 を割った」と判断してしまうけれど、本当はまだゾーンの中を動いているだけかもしれない。逆に、明確な1点を意識しているのに長方形でぼかすと、今度は判断が鈍ります。
見え方と描き方がずれていると、そのずれが後からじわじわ効いてきます。
同期で執行足にも降ろせる
長方形も、チャート間同期の対象です。同じ通貨ペアで、設定した同期範囲に従って他の時間足にも反映されます。
D1 や H4 で引いたゾーンが、M15 や M5 のチャートにもそのまま反映される。上位足で捉えた価格帯を、執行足でも同じ幅のまま意識できます。水平線でやっていることと、まったく同じ使い方です。
時間軸ごとに線のスタイルが自動で切り替わるので、どの足で引いたゾーンなのかも見分けられます。同期モードの使い分けは、別記事で詳しく書きました。
アラートも乗せられる
引いた長方形を選択して A キーを押せば、そのゾーンへの進入と脱出を通知できます。
上の辺なのか下の辺なのか、外から中へ入ったのか中から外へ出たのか。長方形は線と違って「面」なので、通知の種類はそれなりに細かく分かれます。このあたりは書き始めると長くなるので、別の回にまとめます。
いまは「ゾーンを描いたら、そのまま見張らせることもできる」とだけ覚えておいてもらえれば十分です。
使うときの注意点
- 囲む順番は自由 — 対角の2点さえ指定すれば、どちらの向きから始めても同じ長方形になります
- 塗りつぶしを重ねすぎない — 背面に回るとはいえ、数が増えれば色は濁ります。主要なゾーンだけ塗る運用が現実的です
- B キーは選択が前提 — 何も選ばれていない状態では切り替わりません
- DLL の使用許可が必要 — キー操作の取得に user32.dll を使っているため、MT4 で「DLL の使用を許可する」にチェックを入れておいてください
まとめ
Rキー自体は、長方形が速く引けるというだけの機能です。それ単体で何かが劇的に変わるわけではありません。
ただ、線しか引けない道具を使っていると、自分の認識のほうが線に寄っていきます。本当は幅で捉えていたはずのものが、いつのまにか1本の線として記憶されていく。
帯で見ているなら、帯で描く。道具を認識のほうに合わせたほうが、判断は素直になると思っています。
水平線を引く習慣がある方は、次に「この辺り一帯」と感じたときに、R キーを試してみてください。線を引き直すより、囲ってしまったほうが早いはずです。
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